Jump to content

CTA-5052

From tango.info wiki
Revision as of 2014-01-05T16:21:49 by Tobiasco (talk | contribs) (Created page with "http://www.geocities.jp/qunquejp/cd.html ------ LP フアン・マグリオ楽団 CTA-5052  1985年発売。馬場明人氏主催のアルゼ...")
(diff) ← Older revision | Latest revision (diff) | Newer revision → (diff)

http://www.geocities.jp/qunquejp/cd.html


LP フアン・マグリオ楽団 CTA-5052 

1985年発売。馬場明人氏主催のアルゼンチン・タンゴ愛好会の自主制作盤。このようなLPレコードはありがたい。50枚記念盤。エポカ・デ・オロつまり黄金時代のシリーズの12。オルケスタ・ティピカ・フアン・マグリオ・パチョ。1927年から1931年の正しくフアン・マグリオ楽団の絶頂期の記録である。この盤のA面ではフランシスコ・カナロ楽団と覇を争った時代に重点をあてた編集である。カナロとの競合が明確な演奏はカナロの明朗さを取り入れたらしくフアン・マグリオとしては明朗爽快である。フアン・マグリオ楽団を称して妖艶なということがいわれる。バンドネオン変奏は華やかさを演出すというのが普通であるが、フアン・マグリオ楽団では荘重な感じでありバンドネオンの呼吸が妖しい魅力である。まるで深夜の漆黒の闇に消えていくような感がある。静まり返った廃墟の如き神秘的魅力である。重く遅めの定速度進行が適度な遊びをまじえていて聴く者を飽きさせない。フアン・マグリオは1880年生まれで1934年没。1920年代アルゼンチン・タンゴの完成形態の一つを提示したといえるであろう。B面では1929年3月から1931年8月までを収録している。A面の1927年と比べて、余裕が出ているが、その余裕はより重いリズム進行と深みのあるバンドネオン演奏になっていてピアノの煌びやかさが残照の様である。とにかくフアン・マグリオの謎めいた感性が彼の人生の謎に響いているようである。深刻・真剣ということで誇りある薄暗い余韻に満ちた演奏は神聖ですらある。

このような演奏を聴くときに日本で知られなかった理由としてレコードが発売されなかった事情を推測するのである。漸く30センチLPレコードになって1曲が紹介されたのである。当時のラジオ放送で、このサバド・イングレスの曲はよく聴けたものである。録音時期は1920年代の充実した演奏である。マグリオ狂いというマニアがいることを考えれば残念である。軽快でもなく華々しくもないということが商業的に発売を控えさせたもであろう。