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CTA-5056

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LP 「フリオ・デ・カロ」   CTA 5056

フリオ・デ・カロの特殊事情がある。才能と運の両面で恵まれていたということである。1899年生まれで、20代にして既にタンゴの感性の正統をみなされたという稀有なできごとは、フリオ・デ・カロの活動の後半に余裕ある芸術性の発揮をもたらした。後半は不遇とはいえ、一般的な意味での不遇とは異なる。自身の感性がそのままタンゴの感性であるという関係の下で、より完全性への意欲が展開されたのである。この結果大衆との疎遠な状態を招くことになる。フリオ・デ・カロはバイオリン奏者であるがバンドネオンという楽器への理解は深いものであったと思う。単純なスタカート奏法に終わらない。おもしろいことは、ブルンスウイック時代のレコードの回転を速くすると、フアン・ダリエンソの演奏に聴こえてくるのである。その後、フリオ・デ・カロがフアン・ダリエンソの影響を少しだが受けることになる。

このレコードは最終期の録音である。豪快で重い、そして凝った芳香がある。桃源郷の気配さえも存在する。兄フランシスコ・デ・カロは最後まで随伴、カルロス・マルクッチも師匠に同行、バンドネオンの深い境地を聴かせる。

●「ボエド」は4回目の録音。1952年には、更に「黒い花」を収録している。

1953年のメンバーは次のとおり。ピアノはフランシスコ・デ・カロ。バンドネオンはカルロス・マルクッチ、マルコス・マドリガル、マリオ・デマルコ、アルフレッド・マルクッチ、アルトゥロ・ペノン。バイオリンは、ウゴ・バラリス、ホセ・ニエソウ、ルイス・クエルボ、ノルベルト・ベルナスコーニ、アブラハム・ネイブルグ。ベースはラモン・デ・ラ・プラサ。1953年の録音が3曲収録されている。「マイポ」「エル・ブエイ・ソロ」「ムーラン・ルージュ」。1954年にフリオ・デ・カロは引退する。解説は石川浩司氏による論理的内容で参考になる。

フリオ・デ・カロ楽団の楽員の交代は特に劇的ではないようだ。つまり、フリオ・デ・カロの統率力の支配の下で行われたということである。このことはフリオ・デ・カロ楽団の音楽が時期による変質の理由はすべてフリオ・デ・カロ自身にあるということになる。